予定地での土木工事に着手。 3mx5m=15m2の防水シートを地下60cmに埋設し、その上に沢水を引込んで、水深30cm程の浅い池とし、大雨など水量の多い時はあふれ出て深くならない構造としました。雨の日も夏の渇水の時も水位維持機能に申し分なく、動植物の回復も順調に経過してきました。
本格的な工事に着手。防水シートサイズ、12mx25m=300m2。シートを地下1mに埋設し、水深は安全性に配慮して最も深いところで50cm、大部分は20〜30cm前後の浅い広い池としました。流入量は天候により大きく増減しますが、水位は大変よく安定しています。
水路をV字形に折り返し海側に土堤を作るこのビオトープの最も特徴的な部分を造成。海へと下る散歩道が水路を横断する部分は、近くに半世
紀以上も放置されていたコンクリート管2本を利用しました。
7月23日未明室蘭気象台の新記録となる128ミリの雨、各所にがけ崩れや冠水のニュースも有りましたが、イタンキも沢の上部の斜面が陥没、流れ込んだ泥流の影響などでビオトープの排水路部分が大きく谷状に流失し、8月に応急工事を行いました。
集中豪雨などのビオトープからの排水を、大型雨水桝(84cm角)2基で対応することとして流失部分の改良に1基設置し、水路は200m2を造成しました。
水路全体の末端部となる500m2の池を造成して、およそ面積2,000m2延長180mの造成計画を完了することができました。大雨の時は2基の大型雨水桝から排水しますが、特に雨の少ない渇水時には末端部から順次水位低下が進むように調整しています。
造成工事が終了したので次のステップとして東側に幅20mの植樹帯の新設を室蘭市に提案しました。2011年、2012年の夏の刈り草の堆積場とし、2012年秋に重機で撹拌、2013年春から植樹に着手しました。アキグミ、カシワ、ミヤマハンノキ、エソノコリンゴなどを中心に潮風に強い樹種の多様化を図っていきます。
将来、木々が生長すると、東側からビオトープに入るひとは林の中を抜けてビオトープに入ることになります。「林を抜けると、そこは自然豊かな別世界だった」そんな日が早く来ることを期待しています。
冬のイタンキの特徴のひとつは積雪の少なさです。太平洋に面してして「表日本」気候の延長上にあるので、雪は少なく陽射しもあり気温の変化も比較的穏やかです。地表の枯れ草が雪の上に顔を出していることも珍しくありません。
しかし、温和に感じられるイタンキですが、断熱材となる積雪の少ないぶん地表の凍結は厳しく進みます。ゆるやかな流れのあるビオトープの水域も30cmほどの厚さに凍結します。
水源の小沢は厳冬期も全凍結することなく、この氷の下を通った水は末端の下雨水桝から排水され続けます。ビオトープを造成してから、過去2回この通水がストップしたことがあります。2007〜2008年、2011〜2012年の厳冬期各一か月ほどですが、「浅場」が全凍結したことにより氷下の通水が止まり行き場を失った沢水は上流側で溢れ氷が盛り上がりました。水の流れが止まったことにより水中の酸素濃度低下や温度低下などの環境悪化が起きるのでしょう。春になってトミヨやエゾアカガエルなどの死体が回収されています。
通水のストップは特に寒い日が連続し「浅場」が全凍結することによって起こるのですが、この「浅場」は夏の渇水期の水位低下を調節するために意図的に設けたものです。両立はできないので、当分経過を見守ることになります。
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