(1)先行(せんこう)実験(じっけん)池(いけ)「鶴(つる)の雫(しずく)」 活動(かつどう)のスタートは1998年秋まで遡(さかのぼ)ります。窪地(くぼち)の湧水(ゆうすい)をせき止(と)めた小さな池(いけ)での、湿地性(しっちせい)動植物(どうしょくぶつ)の繁殖(はんしょく)・保存(ほぞん)の実験(じっけん)から始(はじ)まりました。室蘭(むろらん)在来(ざいらい)のものを最優先(さいゆうせん)に、わずかな生き残(のこ)りを探(さが)し出し、エゾホトケドジョウ(絶滅(ぜつめつ)危惧(きぐ)種(しゅ))、トミヨ、エゾアカガエルやモノアラガイなどを導入(どうにゅう)、植物(しょくぶつ)では、ヘラオモダカ、ミクリ、サンカクイ、イトモなど多(おお)くを移植(いしょく)するなど、室蘭(むろらん)から失(うしな)われつつあるものの保存(ほぞん)と、海岸(かいがん)のビオトープへの適性(てきせい)を調査(ちょうさ)してきました。 (2)ホタルの復活(ふっかつ)を準備(じゅんび) 「室蘭(むろらん)のホタル復活(ふっかつ)」を目標(もくひょう)に、2000年にホタルの累代(るいだい)飼育(しいく)をスタートしました。古い話(はなし)を聴(き)くと、室蘭(むろらん)は「いたるところにホタルがいた」とのことですが、すでに石川町(いしかわちょう)の少数(しょうすう)を除(のぞ)いて絶滅(ぜつめつ)状態(じょうたい)、幌別(ほろべつ)・登別(のぼりべつ)では数(すう)か所(しょ)で地元(じもと)の人が密(ひそ)かに保護(ほご)している状態(じょうたい)でしたので、虎杖浜(こじょうはま)地区(ちく)の野生(やせい)のヘイケボタルをタネ親(おや)にケースでの累代(るいだい)飼育(しいく)をはじめました。 水温(すいおん)・照明(しょうめい)をコントロールすることにより、外(そと)の季節(きせつ)とは関係(かんけい)なく真冬(まふゆ)にも羽化(うか)させることも可能(かのう)となり、2002年11月には市長(しちょう)室(しつ)で新宮(しんぐう)市長(しちょう)に初冬(しょとう)のホタルを披露(ひろう)しました。また、ケース内(ない)で羽化(うか)した成虫(せいちゅう)は、小(しょう)学校(がっこう)で発光(はっこう)のようすの観察(かんさつ)会(かい)を行(おこな)ったり、蛹化(ようか)ま近(ぢか)の幼虫(ようちゅう)を小学生(しょうがくせい)の親子(おやこ)に配(くば)り家庭(かてい)での羽化(うか)体験(たいけん)の指導(しどう)を行(おこな)うなど話題(わだい)提供(ていきょう)にも心掛(こころがけ)けました。この間(かん)、先行(せんこう)実験(じっけん)池(いけ)「鶴(つる)の雫(しずく)」への導入(どうにゅう)テスト・観察(かんさつ)を続(つづ)け、ビオトープでのホタル復活(ふっかつ)にむけて準備(じゅんび)をすすめてきました。 (3)潮風(しおかぜ)に強(つよ)い実生(みしょう)苗木(なえぎ)を育成(いくせい) 2000年より苗木(なえぎ)の育成(いくせい)に着手(ちゃくしゅ)しました。潮風(しおかぜ)最前線(さいぜんせん)に植樹(しょくじゅ)するためには、市販(しはん)されている一般(いっぱん)的(てき)な苗木(なえぎ)では到底(とうてい)無理(むり)なので、独自(どくじ)に実生(みしょう)の苗木(なえぎ)を育成(いくせい)することとし、地元(じもと)の海岸(かいがん)近(ちか)くに自生(じせい)する樹種(じゅしゅ)を調査(ちょうさ)、それぞれの実(みの)りに合(あ)わせて種子(しゅし)を集(あつ)め、海(うみ)に面(めん)した斜面(しゃめん)を開墾(かいこん)して苗圃(びょうほ)とし、カシ ワやミヤマハンノキなど20種(しゅ)近(ちか)く、小さな苗(なえ)まで数(かぞ)えると数千本(すうせんぼん)を育成(いくせい)してきました。 種子(しゅし)から育(そだ)てて3〜5年、50cm〜1mに育(そだ)つとオオアワダチソウの藪中(やぶちゅう)にも定植(ていしょく)が可能(かのう)になります。 (4)林床(りんしょう)の幼木(ようぼく)を移植(いしょく) 2004年4月、森林(しんりん)所有者(しょゆうしゃ)の協力(きょうりょく)を得(え)て、林内(はやしない)下生(したば)えの幼木(ようぼく)を海岸(かいがん)線(せん)から少し離(はな)れた条件(じょうけん)の良(よ)い所(ところ)に植樹(しょくじゅ)しました。ミズナラ、ヤナギ、ミズキ、ガマズミ、オニグルミ、クリ、トチ、キタコブシ、ホウ、カエデ、ハンノキ、ヤマグワ、ナナカマドなど計(けい)約(やく)50本(ぽん)。成長(せいちょう)ぶりを見ると種類(しゅるい)ごとの潮風(しおかぜ)の影響(えいきょう)が良(よ)くわかります。 (5)小学生(しょうがくせい)とクリンソウを植(う)える 室蘭岳(むろらんだけ)山麓(さんろく)の沢沿(さわぞ)いに自生(じせい)するクリンソウ(サクラソウ科)の種子(しゅし)から育(そだ)てた苗(なえ)を、地元(じもと)の海陽(かいよう)小(しょう)学校(がっこう)の児童(じどう)父母(ふぼ)の協力(きょうりょく)で、ビオトープ予定地(よていち)に導入(どうにゅう)。参加者(さんかしゃ)70名(めい)、3班(はん)に分(かわ)かれて、沢沿(さわぞ)いに植(う)えつけました。(2004年9月) 翌年(よくねん)5月末、美(うつく)しく開花(かいか)。移植(いしょく)に参加(さんか)した人達(ひとたち)の観察(かんさつ)会(かい)や、海陽(かいよう)小(しょう)学校(がっこう)4年生の「春(はる)の自然(しぜん)」をテーマとした自然(しぜん)体験(たいけん)の授業(じゅぎょう)が行(おこな)われました。
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